2011年07月15日
第192話 迷子
恵比寿「う・・・お姉ちゃん・・・。」
ヴェルダンデイは何も言わずに微笑んだ。
するとヴェルダンデイは目で追えないほどの速さで
ミノタウロスを殴りつけ、吹き飛ばす。
男「!?」
続けて地面に手を付けるヴェルダンデイ。
ヴェルダンデイ「神方陣・・・雷光(らいこう)」
するとミノタウロスに直径10mもの雷が落ちる。
ヴェルダンデイはそっと立ち上がる。
恵比寿・シュン「・・・。」
ヴェルダンデイの凄さに言葉を失う2人。
男「・・・貴様も俺の邪魔をするのか。」
ヴェルダンデイ「・・・。」
男「いいだろう。この借りは近い内に必ず返す。
今は身を引かせてもらおう。」
そう言うと男はヴェルダンデイに背中を見せ、歩き始めた。
すぐに後を追い、男をとらえようとするヴェルダンデイ。
だが・・・
ヴェルダンデイ「!?」
男は黒い煙となって姿を消した。
ヴェルダンデイ「・・・。」
ヴェルダンデイはしばらくその場で何かを考えていた。
恵比寿「お姉ちゃん?」
ヴェルダンデイは恵比寿の声に反応し、2人の元へ。
ヴェルダンデイ「お怪我は大丈夫ですか?」
恵比寿「うん。大丈夫っす。・・・ごめんっす。」
反省した様子の恵比寿。恵比寿は頭部から若干出血していた。
シュン「恵比寿君・・・それにお姉ちゃん・・・。」
シュンは自分の目を疑っている様子だった。
恵比寿「ごめんね。僕たちは普通の人間じゃないんす。」
ゆっくり立ち上がる恵比寿。
シュン「・・・。」
目に涙を浮かべるシュン。
シュン「じゃぁ・・・。」
恵比寿「でも・・・さっきの約束は本当っす。僕はシュンの友達っす。
何があっても僕が守るっすよ。」
座り込んでいるシュンにそっと手をかざした。
一方劉軌と国文は・・・。
ヴェルダンデイの向かった方向へ向かう2人。
だがそこの道はとても人通りが多い道だった。
劉軌「ったく・・・何が私が一緒だから心配ないだ!
いねーじゃんよ。」
劉軌は愚痴を言いながら歩いていた。
そしてしばらく歩く劉軌。
劉軌「あれ?本当にこっちでいいんですっけ?国文さん。」
国文の方を振り向く劉軌。
劉軌「・・・あれ?」
しかしそこに国文の姿は無かった・・・。
劉軌「マジかよおい・・・。」
第191話 人間
男は恵比寿を誰かと勘違いしている。
男「君にはここで消えてもらう。
私の邪魔をする者はすべて排除する。
恵比寿「おっちゃん誰っすか?」
恵比寿は男が神や悪魔ではない事に気付いている。
男「・・・君には理解できないだろう。
そして受け入れる事も出来ないだろう。
特別な力を持たず、でも必死に努力して
特別の魂を持つ者と同等の力を持った私の存在を・・・。」
恵比寿「!?」
すると男は巻物を取りだした。
男「後悔するがいい。私も邪魔をした事を。」
男はナイフを取り出し自分の指を切り巻物に血を落とした。
恵比寿「・・・?」
恵比寿(間違いなくこのおっちゃんは人間っす。
神や悪魔の魂は持っていないっす。なのに・・・
なのになんでこんなに不気味な空気を出しているっすか?)
全く理解できない恵比寿。
だが本能的に恵比寿は警戒していた。
すると男の用意した巻物から何かが出てきた。
恵比寿「!!!」
それは・・・ミノタウロスだった。
シュン「きゃーー!」
シュンは今までに見た事もないミノタウロスを見て怯えきっている。
恵比寿(そんな・・・これは確かミノタウロス。
深緑の世界であの大黒の兄ちゃんに
あそこまで傷を負わせたミノタウロス・・・。
なんでこんなモンスターを人間が?
人間が・・・ミノタウロスが・・・
この人間のおっちゃんを主と認めたって事っすか!?)
恵比寿「・・・。」
恵比寿は驚きで動く事が出来なかった。
そして・・・
シュン「恵比寿君!起きてよ恵比寿君!!」
恵比寿は腹部と頭を殴られ倒れていた。
男「うるさい娘だな。殺せ。」
ミノタウロスに指示を出す男。
恵比寿「!!!」
恵比寿は男の言葉に反応する。
恵比寿「シュンに・・・手は出させないっす・・・。」
必死に起き上ろうとする恵比寿。
シュン「・・・。」
恵比寿の必死さを目の当たりにし、涙を流すシュン。
シュン「もう・・・やめてよ・・・。
なんでこんな事するんですか!?
私と恵比寿君が何をしたって言うんですか!?」
勇気を出し男に問うシュンだが・・・
男は容赦なくミノタウロスに恵比寿を襲わせる。
そして・・・
ミノタウロス「あ!?」
ミノタウロスは一瞬恵比寿とシュンの姿を見失う。
男「・・・お前もか。お前も私の邪魔をするのか・・・。」
男の視線の先には2人を抱えたヴェルダンデイが居た。
2011年07月11日
第190話 謎の男
国文「そうですね・・・出来たら最初からがいいのですが・・・。」
そして劉軌と国文はヴェルダンデイから再び説明を聞き、
国文はそれを全てメモ帳に記載した。
国文の書いたメモ帳を見る劉軌。
劉軌「すごいですね・・・。
さすが国文さん。まとめ方が凄く解りやすい。」
ヴェルダンデイもノートを覗きこんだ。
ヴェルダンデイ「ほんとです。凄いです。
これほどの量をここまで綺麗にまとめ上げるなんて。」
国文「いえいえ。そんな事はありませんよ。」
少し照れる国文。
劉軌「とりあえずこの世界で他の勢力の神や悪魔に
出会わなければいいんだな!」
改めて確認する劉軌。
ヴェルダンデイ「はい。」
国分「もし出会ってしまったらどうしたらいいのですか?」
ヴェルダンデイ「私がそばにいますので、
向こうがこちらに気付く前に私が向こうに気付けます。
ですから心配はありません。」
ヴェルうダンデイは再び笑顔で答えた。
劉軌「そりゃそうだな・・・。」
劉軌(先代天照と肩を並べた程の力だ。
悔しいけどヴェルダンデイは強い。
格好悪いが今はヴェルダンデイの肩を借りよう。)
国文「・・・そうですね。」
国文(あの大黒天さんが驚くほどの強さなんです。
今は何も心配する必要はありませんか・・・。
いつかきっとこの借りはお返しします。)
2人は心の中で安心しきっていた。
ヴェルダンデイ「!!!」
するとヴェルダンデイは急に何かを感じ取った。
劉軌・国文「!?」
ヴェルダンデイの変化に気付く劉軌と国文。
劉軌「どうした?」
ヴェルダンデイ「いけない!」
そう言うとヴェルダンデイは急いで何処かに走り去って行った。
劉軌・国文「え・・・。」
国文「確かにヴェルダンデイさんが一緒だったら安心ですが・・・。」
劉軌「居なくなったらどうすればいいんだよ俺達・・・。」
劉軌(おいおいおい!!)
国文(ヴェルうダンデイさん・・・。)
同じ時、恵比寿とシュン。
恵比寿「おっちゃん誰なんすか?」
恵比寿とシュンの前に立ちふさがる1人の男。
男「君か・・・。私の物を横取りしに来たのは・・・。」
恵比寿「何の事っすか?」
シュン「恵比寿君・・・。」
シュンは恵比寿の腕を抱きしめていた。
第189話 国文の思惑
劉軌「そうか。そうだよな・・・。」
国文「うむ。
考えてみれば神と言っても人と言っているようなもの。
同じ種族であっても喧嘩くらいはすると・・・。」
劉軌「喧嘩と言ってもスケールがまるで違うけど・・・。」
劉軌と国文はヴェルダンデイの話した事を考えていた。
ヴェルダンデイ「はい。
それに神と悪魔の中立に位置する者もいますから・・・。」
国文「えっと確か・・・。」
国文は思い出そうとしていた。
劉軌「あの四聖六臨二陣って奴の・・・。」
劉軌も思い出しながら話した。
ヴェルダンデイ「はい。四聖が神。六臨が悪魔。
そしてその中立に位置しているのが二陣と呼ばれている
2つの勢力です。」
劉軌「その2つの勢力の名前は知ってるのか?」
真剣に話す劉軌と国文。
ヴェルダンデイ「はい。
二陣の勢力は[アヌンナキ]と[チャクラム]という勢力名です。
彼らは時に味方であり、時には敵になりえます。」
すると国文はヴェルダンデイに唐突に質問をする。
国文「あのヴェルダンデイさん。」
劉軌・ヴェルダンデイ「!?」
国文「この世界のお金持っていますか?
少し貸して頂きたいのですが・・・。」
急に話題がずれる国文。
劉軌「どうしたんですか?」
ヴェルダンデイ「はい。少しなら持っていますけど・・・。」
劉軌とヴェルダンデイは国文の発言に理解できなかった。
国文「いあね、そろそろ頭では管理できない程の
情報になってきましたので、
持ち歩けるメモ帳とペンが欲しいなと思いまして。
今はこうしてヴェルダンデイさんと一緒に居ますからいいですが、
いつまでもって訳には行かないでしょうし・・・。」
劉軌・ヴェルダンデイ「!!!」
劉軌「なるほど!確かにそうですね・・・。」
ヴェルダンデイ「そう言う事でしたら喜んで差し上げます。」
ヴェルダンデイは満面の笑顔で返事をした。
国文「頂けるのですか!?
いつかきっとこのお返しは致します。」
そして国文はヴェルダンデイからここ、深海の通貨を受け取った。
そして・・・
国文「ああ、すみません。お待たせしました。」
国文はメモ帳とペンを手に戻ってきた。
ヴェルダンデイ「はい。ではどこから話しましょうか?」
2011年06月30日
第188話 シュン
少女「・・・なにそれ!私がそんな事するわけないじゃん。」
笑いながら否定する少女。
恵比寿「そっか!ならよかったっす。」
そう言う恵比寿の顔は本当に喜んでいた。
少女「・・・。」
すると少女は下を向き黙り込んだ。
黙って釣りをする恵比寿。
すると少女は涙を流す・・・。
少女「私・・・苦しいの。寂しいの。
私身体もあまり強くないし、友達もいないの。
親はお姉ちゃんの事ばっかりで・・・。」
涙ながらに話し出した少女。
黙って聞く恵比寿。
少女「もう・・・嫌なの。今だってお姉ちゃんに夢中で
私がここに居る事も気付いてなんかない。
友達が居ないのは仕方ない。
体が弱いのも仕方ない。
・・・でも、私の存在を忘れられるのが・・・苦しくて。
私って誰にも必要とされてない。
私はこんなに皆を必要としてるのに・・・。」
止めどなく涙を流す少女。
恵比寿は勢いよく立ちあがった。
少女「!?」
驚く少女。
恵比寿「僕が必要とするっす。僕は忘れないっす!」
恵比寿は過去の自分と少女を照らし合わせていた。
(恵比寿の記憶参照 http://amba.to/mEIlU1)
少女「無理だよ・・・。
そんなに簡単に私を必要としてくれるわけない。
まだ出逢って少ししか経ってないんだよ?きっと忘れちゃう。」
少女の言葉は・・・重かった。
恵比寿「大丈夫っす。これから一緒に居るっす。」
そう言うと恵比寿は手を差し出した。
少女「・・・?」
恵比寿「さぁ!行くっすよ!」
泣きながら恵比寿の手を取る少女。
そして立ち上がる。
恵比寿「名前なんて言うんすか?
名前知らないと迷子になった時探せないっす。」
少女「・・・ありがとう。私はシュン。君は?」
恵比寿「シュン!覚えたっす!僕の名前は恵比寿っす。」
そして恵比寿は釣りをやめ、、シュンの手を引き歩く。

